ニュージーランドのテロ事件

先月、驚愕のテロ事件がニュージーランドで発生しました。日本から毎年多くの留学生が訪れるニュージーランド南島の美しい都市クライストチャーチ市内のモスク(イスラム礼拝所)で50人が死亡した銃乱射テロ事件は世界中に衝撃を与えました。実際には現在まで、このような犯罪はヨーロッパ諸国、アメリカ、南米や中近東諸国で発生することがメデイァでは報告されていました。
今回の事件の犯人は28歳のオーストラリア人とのことで、捜査当局は男が合法的に銃を入手して犯行に及んだとアナウンスしました。世界中で安全な国のひとつといわれるニュージーランドで、このような凶悪事件が発生することを誰も予想をしていませんでした。
今回の事件は「絶対に安全といえる留学先は存在しない」という教訓を残しました。この認識を留学生本人、保護者、そして留学エージェントが共有すべき現実が突きつけられたようです。
ニュージーランドのアーダーン首相は事件翌日の記者会見で、男はニュージーランドの定住者ではなく世界中を転々としている者だと指摘しました。しかし問題は、そのような男がニュージーランド国内で銃を簡単に保有できたことです。犯行には5丁の銃を使われており、その武器の保有を許容したニュージーランドの武器所有制度に問題があるという意見があるのは否めません。さらに、犯人が警察当局の要注意人物リストにも入ってなかったという状況は、犯罪を行う可能性のある者をリストアップする情報不足が露呈されています。
これから海外に留学する方々は、どこの国に渡航するとしても安全に留意した海外生活を送ることが重要です。日本は春を迎え、本格的な留学シーズンに入るので、留学渡航者自身で自分を危険から守るという意識を高めていきましょう。

大学センター試験の終焉

 平成最後の年である平成31年も、3月に突入して、中学校、高等学校、大学で一斉に卒業式が行われるシーズンに入りました。先月末に行われた国公立大学2次試験(個別学力検査テスト)の終了で、今年度のほとんどの大学入試も終わりました。そして春が来れば、いよいよ入学式が行われる季節に入ります。
 ところで、これまで私たちが親しんできた「大学センター試験」制度も終了を迎えて、平成32年度からは、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」と文部科学省が示す新方式の大学入試が導入されます。この試験は、現在予備校などの教育機関のサイトで「大学入学共通テスト」と称されています。
 新方式の大学入試では、現在までのマークシート式が主流であった問題形式から「知識の理解と思考、判断力、そして表現力を重視した内容」の、記述式問題を多く含む試験になります。英語教科では「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能を評価する民間資格、検定試験の活用も示されています。特に英語の国際能力基準であるCEFRとの対応関係について一定の思慮の元でカリキュラムレベルが取り入れられる、ある意味画期的な取り組みが行われていると言えます。
 今年は、新方式テストに関する検証と試行調査のためのトライアルとして「プレテスト」が実施される模様です。平成の終わりとともに大学入試も大きく変化していくことになります。

アメリカと日本の児童虐待問題

中学生、高校生を交換留学制度で海外に送り出す留学団体として、私たちはいつも学生児童に対する内容のマスメディア報道に敏感に対応しています。
最近、新聞やテレビで大きく報道されている児童虐待の問題。家庭内で父親や母親の虐待によって傷を負う子供たちは後を絶ちません。実際「最近子どもの虐待や遺棄の事件が増えた」と感じる人は多いと思います。日本の厚生労働省の調査では、児童虐待の通報件数は毎年増え続けているとのことです。年間、多くの学生児童が虐待によって命を落とすケースも発生しているとの報道には胸が痛む思いです。
それではアメリカはどうでしょうか。実は、アメリカの家庭でも児童虐待は問題になり、それが大きく報道されることは少なくありません。人口が日本の3倍を有するアメリカでは、当然、それに比例する以上の数の事件が報告されています。小学校、中学・高等学校での深刻ないじめ問題と家庭における児童虐待は、米国でも大きな社会問題として捕らえられています。それらは、人種的な状況から起因する場合もあれば、貧困や移民問題を原因とする場合もあると考えられています。
日本の児童も、そしてアメリカの児童も、これからの社会を担う子供たちには、穏やかで安定した日々が送れることを願ってやみません。子供たちが安心して生活できる社会を作ることが私たち大人の責任でもあります。

2019年おめでとうございます

新年  明けましておめでとうございます。2019年も、昨年同様エースを宜しくお願い申し上げます。
今年は平成31年、平成最後の年です。「一年を猪のように、勢いよく突進したい」と思います。年が明けると早いもので、正月三ケ日が急ぎ足で過ぎていきました。1月の高校留学相談サービスもスタートして、留学生のカウンセリングを開始しました。
国際時代と言われて久しい今日、昨年は日本を訪れた外国人が3千万人を超えました。日本から海外へ留学などを含んで渡航する人々の数を超えて外国の方が日本を訪れています。最近は、東京でも、大阪でも、京都でも、多くの外国人が観光を楽しむ姿を目にします。特に京都は、ホテルが年中満室の状況で、日本人の観光に影響していることが気にはなりますが、観光客全般の数が増加するのは経済的な効果から考えると良いことなのでしょう。
今年は、ラグビーのワールドカップが日本で開催されます。オリンピック・イヤーも迫り、ボランティア希望の応募者も2万人を超えたとのことです。さらに2025年の大阪万博など、多くの国際的な催しが目白押しで、日本の未来は明るいようです。その反面、日本が行う商業捕鯨活動への批判や冷え込む日韓関係、通商問題で揺れる日米関係など、解決すべき問題も山積しています。
来る新元号による新しい未来はどのようなものになっていくとしても、国際的な取り組みがあらゆる分野で広がっていくことは間違い有りません。これから未来を担う若い方の高校留学、大学留学など広い分野の留学を、エース留学センターが支援したいと思います。
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アメリカのホームスクーリング

アメリカのミネソタ州のラムズベリ・ハイスクールに日本の松山市から高校交換留学に参加している吉田啓太君から、ホームスクーリングについての質問メールが来ました。家で、中学や高校授業を行う「ホームスクーリング」となどういうものでしようか。
アメリカの国土は広く、日本の26倍あります。例えば、アメリカ国内をグレイハウンド(大陸横断バス)で旅をすると、都会から相当離れたところの小さな町に人が居住していたり、規模が小さい集落が散在していたりする景色を見ることがあります。日本からの高校留学生などは「どうして、こんなところに人が住んでいるのだろう? 買い物はどこでするんだろうう? 住んでいる子供たちはどこで教育を受けるのだろう?」と疑問に思うことがあっても不思議ではありません。
アメリカの教育制度では、家庭を拠点に学習指導する「ホームスクーリング」という在宅教育があります。近年はインターネットを利用して学んだり、親が教師となって子供を教えたり、チューターと呼ばれる家庭への派遣講師が訪ねてきて勉強を教えたりするケースが少なくありません。
町の規模や所在条件とは別に、安全面や教育の質、家庭の宗教事情、高等学校などの教育に対する不満を理由にこの教育方法が思う以上に普及しています。アメリカ国内で250万人程度の小中、高校生生がこの制度を利用しているといわれます。
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このシステムの良いところは、部分的に学校クラスに参加したり、オンラインで好きな授業を選んで受けたり、近くの町の高校に行ってスポーツ活動だけに参加したり、あるいは集落のスポーツクラブに加入することを教育機会の一部とすることができることです。
この制度を利用するには、最寄の教育委員会に規定の届出を行うことでどこの家庭でも開始ができます。教育委員は家庭を定期的に見回り、教育相談や教科書の提供、共通テスト広報による支援をして管理を行います。アメリカでは、義務教育の終わりに SAT、ACTという大学進学共通試験があり、これで進路を決めることから、日本の義務教育制度と違う形で教育を進めています。

留学でAIS-自動翻訳機に対抗

最近、日本の政府各省庁がAIS-自動翻訳機の導入を本格化していると報道されています。現在のAISは、留学生も驚くTOEIC900点レベルとの事です。精度が日々向上しているので、近いうちにTOEICの満点に近づくでしょう。
総務省が、政府機関全体でAIS導入に向けて動き出しています。2020年東京オリンピックに向かい、観光の通訳、入国管理業務、警察消防署、医療施設などで活用を想定しています。
この翻訳に使うのは、NICT(情報通信研究機構)が開発したスマートフォン用アプリ VoiceTra-ボイストラです。日本語、英語、中国語、韓国語、ベトナム語など31言語間の翻訳ができ、このうち14言語は既に音声対応ができるとのことです。使い方は簡単で、スマートホンに日本語で話しかければ指定の言語に自動翻訳されて、スマホから音声が流れるしくみです。
このボイストラですが、2010年に初期型が完成していました。当初は単語が複数並ぶと翻訳精度が落ちて翻訳時間も10秒以上かかっていました。近年は人工知能によるデイープラーニング技術で精度が上がったといわれます。このボイストラは無料公開され200万回以上ダウンロードされています。
こうなると「日本人が英語を学ぶ必要があるのか」という疑問がでてきます。スマホがあれば、英語能力は不要になるという意見もあるかもしれませんが、そうではありません。
翻訳機械が高度なレベルで英語を翻訳する時代こそ、より高度な英語力を日本人は持つ必要にかられます。例えば、自動計算機が世に出た時と同じで、多様な自動計算ができる機械が世に出たことで計算技術が不要になった事実はなく、逆に私たちはより高度な算数能力が必要とされるようになり、それを効率よく進めるために計算機を利用することを覚えています。

帰国生大学入試の真っ盛り

福岡、岡山、愛媛、神戸にある大学を含む日本国内各地の大学では、毎年夏が過ぎて、9月、10月になると、海外の高校卒業生(または、卒業見込み生)を対象にした入試制度の「帰国子女特別選抜の大学入試」が開催されています。毎週末の土・日曜日は、必ず広島など、中国地方のどこかでこの入試が行われる訳です。
アメリカ、カナダ、イギリス、アイルランドの高校卒業生は、既に今年の5月から7月までに現地の高校を卒業して日本に帰国して受験の準備勉強をしています。しかし、オーストラリア、ニュージーランド、フィジーなどオセアニア圏の高校生は、学年学期制が「通し年(1月に始まり12月に終わる)」のために、現在も最終学年在学中なので、卒業見込み状態で受験先大学の海外帰国子女試験開催日に合わせて慌ただしく日本に戻って受験をして、この試験が終了すると留学先の国に戻ります。
有名な大学の帰国子女特別入試の開催月は、毎年通常9月に(変更される場合があります)慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、ICU(国際基督教大学)、青山学院大学、明治大学、津田塾など、10月に学習院大学、法政大学、横浜市立大学など、そして11月は立教大学、横浜国立大学、12月は北海道大学、1月は京都大学、東京大学、一橋大学、九州大学と続いきます。国立大学の方が試験日が遅めです。
帰国子女特別入試の受験科目は「英語、日本語の小論文、面接」の組み合わせの場合が多く、国立大学の受験では、これに一般教科試験が加えられるケースもあります。近年は、最初に行う受験エントリー条件が厳しくなり、大学出願条件としてTOEFL IBT やIELTSの高得点が要求されることが増えました。地方の大学では、現在もTOEIC L&R 試験のスコアでも有効とされるので、高校留学生は自分の英語検定資格の結果に応じて受検先大学を選択するとよいでしょう。
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アメリカ高校生の決起

先月(2018年8月末)に、アメリカの高校生による「銃の規制を求め安全な高校生活を維持するするための–命のデモ」が全米各地の高校で行われ、一部の留学生もこの集いに参加しました。これは度重なる高校キャンパスで起きた事件に対するものです。
今年も、フロリダ州のパークランド高校で、17人が死亡した3月の乱射事件の発生後にこの規制強化を求める高校生がワシントンで抗議のデモ行進をしました。しかし、一向に進まないガンコントロールに対して、ついにホワイトハウス前で高校生の有志が集まり「安心して学べる高校と社会の実現を」とそれぞれがスピーチを行い訴えました。
既にアメリカ国民の数を超える銃器が民間に出回り、州によっては1家に一台以上の割合で普及しているといわれる現状では規制が困難といえます。また、政治家に多額の献金を行う巨大組織、全米ライフル協会も強くこの動向に反発しています。
アメリカ政府ができるのは武器購入時に、購入者の犯罪歴や精神病歴チエックを厳しくする位のことで、そのものの販売や流通を禁止することは不可能といえます。
仮に、新規の銃の販売と拡散の防止に成功したとしても、販売されたものをコントロールするのは不可能といえます。3Dプリンターでもピストルを製造できる現代においては、最終的に個人の認識と、それを許さない社会環境を構築する必要があります。
今年も日本から多くの高校交換留学生が文化交流でアメリカに渡りました。アメリカが、学生や旅行者にとって安心して生活できる国であることを願うばかりです。

広島から世界へ「Bonダンス」

広島市で、8月11日に盆踊り大会が開催されるとの案内フライヤーが、国際交流センターから送られて来ました。広島留学生会館の学生や、これからアメリカ、イギリスなどへ渡航する予定の留学生が集う国際留学サークルの皆さんと会場に行きました。
最近、日本各地で開催される盆踊りといえば、若者が参加しやすいようにポップス系音楽を取り入れた4ビートサウンドに乗せた昔ながらの盆踊りの振り付けダンススタイルが流行しているようです。
この広島の夏の新たな集い「ひろしま Bon ダンス」は、終戦の翌年に広島市の中心地、基町で行われた「戦災供養の盆踊り」を72年ぶりに復活させた催しだとのことです。さらに、広島からは多くの人々がハワイや南北アメリカ大陸に移住しており、海外でも日系文化を伴う盆踊り「Bon Dance」の楽しさを夏祭りとして現地で開催したということです。
やぐらが中央にしつらえられて多くの人が集まり、賑やかな盆踊り大会でした。今回は、個人や会社からの協賛を募ってキャンドルが数千個が提供されていました。ここに集まったキャンドルは、折り鶴をイメージしたモニュメントを照らして、とてもきれいでした。留学生の皆さんの思いや願いを示しながら盆踊りの文化をヒロシマの世界へのメッセージとする発信につなげました。このイベントには、広島在住の外国の方や大学留学生、さらに時期に広島を訪れている外国人観光客も多数参加していました。この催しが、夏の風物詩として将来定着することを期待しています。
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大学受験者の公正審査

現在、新聞などマスコミでクローズアップされている「東京医科大学による女子受験者点数の減点操作」は、社会に大きな波紋を広げています。
今まで一生懸命勉強してこの大学を受験をしたのに、減点操作により合格できず失望した女子生徒がいることを考えると、東京医科大学が女性を差別していると世間から非難されても仕方のないと感じます。
ところで、アメリカの大学では、大学入学出願時に受験者の性別、民族、経済力、出身地などを公正に扱おうという「アファマティー・アクション」という理念があります。アメリカの大学入試は、面接試験が実施される少数の大学を除いて、それらの多くが書類審査を入試としています。入学合否は、全州で開催される共通大学試験 SAT・ACTの結果、高校の成績、教育的なバックグラウンド、高校教師の推薦状、そして出願者自身のステイトメントによって総合的に審査されます。しかし、大学が定めた出願書には「学校活動の表彰暦、ボランティア活動暦、クラブ活動、自己申告による自身の性格分析アンケート」とともに「性別欄、年齢(生年月日)、宗教欄、そして所属民族欄」があります。
日本の生徒がアメリカの大学に出願する場合は、アジア人の欄に印を入れて国籍Japanと記入するのですが、「アファマティー・アクション」が本音であれば、所属民族欄や、性別欄は不要ということになるはずです。大学は学問を学び、研究を行い、見識を深める施設であることから考えると、出願者の「氏名、生年月日、出身高校、共通試験などの成績結果」程度のデーターだけで合否を公正に審査するべきだという意見があることは否めません。