てんかん病と高校留学

tenkan突然発作を起こす「てんかん病」、英語では ”Epilepsy”  と表しますが、この病気は発作症状を繰り返すもので、年齢、性別なく発病をします。てんかんは「脳の慢性疾患」とされて突然発生する激しい電気的な興奮発作症状が特徴です。てんかん発作時の症状は、大脳の電気的な興奮が発生する場所によって様々であり、けいれんで手足を曲げ延ばしする動作や、手足が突っ張って体を硬くする強直発作、特殊な行動を取るパターン、いろいろな症状があらわれる複雑発作など、その症状は極めて多彩と医療情報に記されています。

最近、この病気が増加する傾向にあるのか、てんかん病もちの高校生数名の留学相談を2015年に受け持ちました。そのうち2名の生徒さんは医師からの「薬を飲むことを忘れず自己管理が出来れば留学は可能」という診断書のもとで、1名がアメリカへ、1名がオーストラリアの高校に留学されました。残念ながら他の方は、医師の診断書により海外生活を控えるようにとのことでしたので参加できませんでした。

この病気の罹患者の海外渡航に際して問題とされたのは、日本の海外傷害保険の引受先がほとんど無いという事実です。アメリカの民間傷害保険会社のシステムでは既往症やてんかん病治療をカバーするものがありますし、オーストラリアも国の規定したこれらの病気に対応する公的保険があります。日本はAIU保険さんが一定の条件下で短期間に限定して傷害疾病の引き受けを検討するというものがありましたが、エース保険会社、東京海上保険会社での引き受けを可能とした保険商品はありませんでした。

将来の世界を担う若い皆さんには、健康問題や病気があっても、保険や社会の支援、受け入れ国の理解によって多くの海外渡航の機会があることを願っています。

 

日本人留学生の射殺事件を回想

今年は多くの人が参加したことで、とても印象的だったハロウイーン・ナイト。「日本のハロウイーンは、いつからこんなに賑やかになったのだろう」と思いをめぐらせた時に、ある悲惨な昔の出来事を思い出しました。当時はテレビ、新聞などのマスコミで「日本人高校留学生射殺事件」として大きく取り上げられました。1992年10月のハロウイーンの夜に、アメリカのルイジアナ州バトンルージュ市で名古屋からの高校留学生である服部君が無残にも射殺されました。この悲劇は広く報道され、アメリカという銃社会の深刻な社会実情が浮き彫りになりました。ハロウイーンで訪問しようとした家と間違えて、偶然ピアーズ宅に足を踏み入れてしまった服部君を、不法侵入者と間違えたピアーズ氏が「フリーズ-Freeze(動くな)」と警告した後に、ピストルで射殺しました。アメリカのマスコミもこの事件を報道したため、銃の規制をしようというムーブメントが一部で起きましたが、全米ライフル協会などの反対によって実現はできませんでした。その理由は「アメリカの人口3億人に対して、銃も3億丁以上が既に販売されて社会に出回っている。アメリカの憲法では、護身のための銃器保持が認められている」との事でした。

アメリカのホストファミリー減少

host2-ocean思いだすと、アメリカの高校交換留学制度に30年近く関わってきました。当初は、アメリカ中の各州の都市から日本からの留学生に来てほしいとうファミリーが多くありました。
ファックスやテレックスで、英文の募集要項が届いたことを覚えています。その時分は、アメリカに受け入れ先となる家庭を募集して留学生をサポートする現地の文化交流財団が多く、歴史のある交換留学組織ではYYE、AFS、ASPECT、YFU、ISEなどの有力団体がhost-oceanこの頃から活動をしていました。時代は現代に移り、現地受入団体の活動規模は半分程度まで減少してきました。その変化の理由は何でしょうか。ひとつは、ネット社会の到来で外国の文化や社会情勢をいつでも知ることができる情報近代化への変化があります。これにより、文化交流への取り組みのニーズが減ったことは確かです。他の原因としては、アメリカの国内景気の変動があります。現地の受け入れ先家庭がスポンサーとして無償で外国人を受け入れる制度であるために経済的な安定がないとその機会が減少することはいうまでもありません。近年10年間でもサブ・プライム住宅ローン問題やそれに関わるリーマンショックなどの社会経済問題が発生して少なからず高校生留学のシステムに影響したことはいうまでもありません。とはいえ、この制度の維持発展を心から祈るばかりです。

シアトルのバス事故について

シアトルといえばイチロー選手が活躍したことのあるメジヤーリーグのシアトル・マリナーズと、名門大学として知られているワシントン州立大学が有名です。この街は、カナダと国境も近いこともあり、海外からの観光客も多く訪れています。日本人に人気のある市街地に近いところで先月大型バスの衝突事故があり、死者に日本人1名を含む事故になりました。思い出してみると、昨年アメリカでは、カリフォルニア州のサンディエゴ市郊外のハイウエーで、パロ・モア・カレッジに留学する日本人留学生の自動車事故があり、それは大きなニュースとして報道されました。アメリカのフリーウエーは制限時速が60マイルを上回ることから、通常のドライバーはkm換算では120キロ位を出してグングン走行をしています。高速道路での自動車事故がいったん発生すると、その多くが重大な事故となるので、自分でレンタカーを借りて運転をする場合でも、グレイハウンドなどの長距離バスを利用する場合でも注意と覚悟が必要になります。「自分の身は自分で守る」とういうことから、海外旅行保険などの傷害保険が必要なことはいうまでもありません。留学を行う生徒は、あらゆる局面を考えて準備をして行動したいものです。

★朝日新聞デジタル版の2015年9月25日版Web記事より引用★

 米シアトルで24日昼、水陸両用の観光バスと大型バスが衝突する事故が起き、4人が死亡した。日本の外務省によると、日本人1人の死亡を確認したという。また複数の日本人を含む51人が病院に搬送され、このうち少なくとも2人が重体といい、現地でけがの状態などの確認を急いでいる。
大型バスには、近くのノース・シアトル・カレッジの留学生ら約45人が乗っていた。外務省によると、日本人1人の死亡を確認したと、現地の警察から在シアトル日本総領事館に連絡が入った。身元は明らかになっていない。死亡したのはいずれも海外からの留学生という。
シアトルの中国領事館の関係者は地元メディアに、病院や大学から聞いた話として「6カ国の48人が巻き込まれた」と話した。同校によると、留学生は約900人在籍しており、多くがアジア出身という。事故が起きたのは、シアトル中心部に近い、大きな橋の上。シアトル・タイムズによると、水陸両用のバスが車線からはみ出し、反対車線を走っていたバスの側面に衝突したという。
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増え続ける中国人留学生

近年の、中国からの海外留学希望参加者の劇的な増加で、高校留学のシステムが変化しています。実際のところ、日本へ押し寄せる中国人観光客は、同様にアメリカやヨーロッパにも押し寄せています。中国人の高校留学生の増加も同様で、アメリカのひとつの高校に中国人の留学生が10名近くいるケースが報告されています。日本の留学エージェントの間では中国人の「爆買い」に習って「爆留」とこれを呼んでいます。中国人留学生の多い学校は、どうしても中国人同士がかたまる傾向があるために授業の休憩時間など中国語が教室内で乱れ飛ぶことが問題視されてきまして。中国では、若い時分に海外で学んだという就学経験を高く評価する風潮があります。外国で活躍する中国人を「架橋」と呼ぶように、外国の学校で学んで中国に帰国したものを「戻橋」と呼んで、進学や就職面で高く評価してリーダーにするなどの優遇をします。現在の中国の代表者である習近平国家主席も、若いときにアメリカのオレゴン州などに滞在して学んだ経験を持つ戻橋のひとりです。さらにいえば、ひとり娘の習明沢さんをアメリカのハーバード大学に留学させて卒業、それをもって中国帰国後に元国営企業体の重要ポストを与えるなどして娘の支援をしています。(写真は習明沢さん。ハーバード大学卒業式)Syu-musume

変わり行く大学留学

近年、大学留学方法が多様化を呈しています。実際に高校卒業後に外国の大学へ進む生徒は減少傾向にあり、日本の大学へ入学した後に、その大学の提携大学に交換留学するという生徒が増加しています。これには2つの訳が上げられます。ひとつは、国内景気が回復して、大学生の就職環境が改善されたことです。新卒の就職は売り手市場といわれ、日本国内の大学卒業後に優良企業へ就職ができる機会が増えたので、外国の大学へ進むより国内の有名大学へ進む方向にシフトしています。また、それらの国内大学の売りは、在学中の海外留学制度や海外研修制度の充実が上げられ、日本の大学進学においても海外の大学留学を実現できる環境が整ったことにあります。日本の大学に籍を置いて、日本の大学で学費を支払い、単位互換制度を利用した国際就学には確かに時間的、経済的なムダがありません。海外生活の治安の問題、米ドルを中心とした外貨の高騰、留学と外国の大学卒業そのものが日本国内で直ちに高い評価を得られないことなどが、長期の大学留学熱を冷ましているといえるでしょう。とわいえ「青年は荒野を目指す。」これからの日本を担う若い方々には世界で最高の教育を受けて欲しいものです。university

大阪高槻の中学生殺人事件

先日、大阪の高槻市で中学1年生2名が殺害され死体遺棄された事件がありました。犠牲者となられた生徒さんのご冥福を心からお祈りします。本当にショッキングで残念な事件です。このような十代の子供たちが巻き込まれる事件というのは世界中でどのような頻度で起きているのでしょうか。同じ月に、アメリカのテキサス州で子どもを含む一家7名が殺された事件が報道されています。実際にアメリカでは、子どもを含んで年間の2万人以上が行方不明になっています。その中には不幸なことですが銃による子供の犠牲者が相当数出ているとの報告があります。先進国では子供が事件に巻き込まれることを防ぐのにはリスク・マネージメント、親による危険回避のための管理努力が重要です。それは、「夜遅く子供を外出させない、子供をひとりにしない、子供とのコミュニケーションを日頃から積極的に計る。」ことが基本になると思います。子供自身は「いつも慎重に行動する、知らない人に付いていかない。」ことが生活での基本になります。これは私たち大人も、外国旅行をする時にも必要なリスク・マネージメントのポイントです。すなはち、暗くなってからひとりで出歩かない、知らない人の車には乗らない、慎重に行動することなどが気をつけるべき事柄であることは間違いありません。

天津爆発、危険一杯の海外生活

先日、予想を超える大きな爆発事故が中国天津市の湾岸工場地帯で起き多くの死傷者がでました。この事故に海外からの旅行者や留学生が巻き込まれたかどうかは別として、どこにいても思わぬ状況で事故やテロなどに巻き込まれる可能性があることを思い知らせた事件であるといえます。過去の出来事を注意深く振り返ってみると、実際に大きな事故は一定の頻度で起きています。アメリカのボストン・マラソン爆弾テロは記憶に新しく、ニュヨークの世界貿易センタービルへの航空機による破壊テロ、その何年か前には米国のオクラ・ホマシテイでも爆弾テロがありました。エジプトのカイロで発生した観光客無差別殺人事件では日本人が巻き込まれ、日本でも福島の原子力発電所事故が発生しました。最近では、韓国の高校生を乗せた客船沈没事故や、タイのバンコク市内の爆弾テロなども起きています。「誰でも人は自分だけは事故に巻き込まれない。」と思っているのですが、事故が発生して、そこに犠牲者がいる以上、特に海外に渡航する方は「様々な潜在リスクに対するセルフ・マネージメント」を一度考えてみる必要があります。

日系ビジネス8月号より
天津爆発事故

8月12日夜に天津市の臨海部、濱海新区の天津港保税区に所在する物流会社“天津瑞安国際物流有限公司」(以下「瑞安物流」)の危険物倉庫で発生した大規模爆発事故は、その爆発による衝撃波と熱風が周辺地域を直撃し、半径1km圏内をこの世の地獄と化し、甚大な人的、物的被害をもたらした。
物的被害は想像を絶する大きさで、その損害総額は巨額である。保険の専門家は初歩的見積もりとして、「保険の損害賠償金額は50億~100億元(約1000億~2000億円)に達すると想定される」と述べているが、やっとの思いで購入した住宅を破壊された庶民による天津市政府に対する住宅の買取請求額や保険対象外の損害を含めれば、その総額は天文学的なものとなるだろう。

104人の消防士が死亡・行方不明
それでは人的被害はどうなのか。以下の通りといわれている。
【死者】123人。全員の身元は確認済みであるが、この中には“天津市公安局消防局”の消防士20人、“天津港公安局消防支隊”の消防士50人、“人民警察(警官)”7人が含まれていた。
【行方不明者】50人。その構成は、天津市公安局消防局の消防士4人、天津港公安局消防支隊の消防士30人、警官4人、その他12人。
死者・行方不明者の合計173人中の104人が消防士であり、その内訳は天津市公安局消防局が24人、天津市公安局消防支隊が80人となっている。この数は余りにも多い。

アメリカ生活で注意するべき事-銃による犯罪と規制

アメリカの総人口は3億人、それに対して既に市場に出回っている銃器は6万丁といわれます。この数から考えるとアメリカ人ひとりが拳銃2丁を持っている計算になります。銃による殺人傷害事件が発生するたびに、銃の規制「ガン・コントロール」が全米で叫ばれ、オバマ政権でも一時はその規制のながれに乗り出そうとしました。しかし、アメリカの政治団体や族議員に影響力を持つ全米ライフル協会などの銃の護身普及を訴えるオーガナイゼーションの規制反対にあって、この実現は不可能となっています。昨年も、小さな子供が親の拳銃をさわっていて誤射による暴発で死亡したり、警官による黒人への発砲傷害事件などが続けざまに起きています。随分前のことになりますが、日本の高校留学生がハロウインの夜に銃で撃たれてなくなった不幸な事件がありました。この時の被告は裁判では無罪になっています。アメリカでは前述のように銃を持っている家庭が多く、高校留学生のホストの家庭でも寝室に拳銃を備えていることが少なくありません。「深夜に寝室まで忍び込む者は銃を持った犯罪者なので、撃たれる前に撃つことで家族を守る」というホストファザーの覚悟を聞いた時は日本と違う社会がそこにあることを実感しました。高校留学生の滞在先は田舎の場合が多く、その家の回りには民家が少ないことがほとんどです。警察のパトロールもないような片田舎の町では、自分の身は自分で守るのがひとつのアメリカの生活文化であることは間違いありません。

留学生は身につけたい危険予知力…自分の身は自分で守る習慣

今年も、留学生の充実した海外での楽しい生活を知らせるコラムや、逆に悲惨な海外での事故の悲しい報道などがありました。年間1000万人以上が外国に渡航して、さらに留学生、ワーキングホリデー・メーカー、海外インターンシップ、ボランティア留学参加で渡航する若者が数十万人に上る現在、ぜひ皆さんに身につけて欲しいものがあります。それは、「危険予知力」と呼ばれる能力です。もともと、人間には、感覚的に「この先に行くと危ない」とか「この人は危険」、「ここに長く居てはいけない」というような持って生まれた第六感による察知能力があります。これは個人差こそあるものの、誰でもが持っている本能的な能力です。留学生は、これを外国に行く前に研ぎ澄ます練習をすることを勧めます。この練習は、決して難しいものではありません。例えば、海外に行く航空機の中で、瞳をとじてイメージの中で、自分が怖かった時の感覚を思い出すイメージ・トレーニングをすることで身に付きます。外国という未知の所に行くという緊張感を持つことは、自分の身を自分で守るという意味で重要です。さらに、アメリカに到着して、その空港を出る時に「ここはアメリカだ、日本とは違う」と3回程度か唱えると効果が上がります。この危険予知力を研ぎ澄ますと、「ここに物を置いて、この場を離れると盗まれるかもしれない」「こんな闇夜にハイウエイーをドライブすると事故に遭うかもしれない。出発は明日の朝にしよう。慎重に自動車を運転しょう」「この外国人の人は親切なようだけど注意しないといけない」という事故アラームによる助言が、外国生活の状況に応じて自分の中に自然に鳴り響くようになります。備えあれば憂いなし、ぜひやって見て下さい。効果があります。